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副業の所得区分についての新基準

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 国税庁は2022年8月に「副業収入が300万円以下の場合は事業所得ではなく雑所得」とした通達案を公表しましたが、これに多くの意見が寄せられました。

 それにより、10月に修正された通達案が発表され、それによると300万円という金額で一律の線引きするのではなく「所得に係る取引を記録した帳簿書類を保存すれば事業所得にできる」といった内容になっています。

 

 修正後の通達の内容は次の図のようになっています。

 ① その所得の収入金額が僅少と認められる場合

  例えば、その所得の収入金額が、例年、300 万円以下で主たる収入に対する割合が 10%未満の場合は、「僅少と認められる場合」に該当すると考えられます。

 ※「例年」とは、概ね3年程度の期間をいいます。

  ② その所得を得る活動に営利性が認められない場合

  その所得が例年赤字で、かつ、赤字を解消するための取組を実施していない場合は、「営利性が認められない場合」に該当すると考えられます

 ※「赤字を解消するための取組を実施していない」とは、収入を増加させる、あるいは所得を黒字にするための営業活動等を実施していない場合をいいます。

 

 

 国税庁が通達案を出したのは、副業収入が「事業所得」と「雑所得」のどちらにあたるのかを明確にするためです。

 

 事業とは、独立・継続・反復して行われる仕事のこととされています。

 言い換えると、自分で独立してビジネスを経営することによって収益を得るのが事業です。会社員でも副業による事業から収入を得ている場合には事業所得があることになります。

 

 一方、雑所得というのは、事業所得や給与所得など他の所得区分に該当しない所得です。

 会社員の副業でも、たまに原稿料や講演料、物品販売による収入などを得ているような場合は、継続・反復しているとは言えないため、事業所得ではなく雑所得になります。

 

 事業所得の場合は、利益が赤字になった場合に給与所得からその赤字を引くことができたり、青色申告を行っていれば「青色申告特別控除」として一定額を事業所得から差し引くことができるなどのメリットがあります。

 

 従来から会社員の副業をめぐっては、副業収入を事業所得にして赤字計上して給与所得と差し引きすることで節税する人がいました。

 事業所得は赤字を給与から差し引くことができますが、雑所得の場合はそれができません。

 

 これまで問題となっていたのは、趣味としか言えないような少額の事業収入を事業所得として申告することを毎年行って節税しているようなケースです。

 悪質な場合や赤字の金額があまりにも大きい場合は税務調査の対象となりますが、線引きがあいまいな部分が多く、国税庁は対応に苦慮していました。

 

 改正後の通達には次のように記載されています。

 「事業所得と認められるかどうかは、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定する。 なお、その所得に係る取引を記録した帳簿書類の保存がない場合(その所得に係る収入金額が 300 万円を超え、かつ、事業所得と認められる事実がある場合を除く。)には、雑所得に該当する。」

 

 この通達によって、副業の場合でも、ある程度の収入を得ていて赤字が3年以上続くのでなければ事業所得として認められるということになります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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