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事業所得と雑所得の区分

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会社員が副業として事業を行う場合、「事業所得」になる場合と「雑所得」になる場合があります。

「事業所得」の場合は赤字が出た場合に他の所得と差し引きできるほか、「青色申告」ができるため、最高65万円の青色申告特別控除を受けられたり、事業に専従する家族に対する給料を経費にできたりします。

そのため、事業所得と雑所得で納める税金の計算が大きく変わってくることがあるので、事業所得なのか雑所得なのかが問題となります。

 

事業所得の定義は「自己の計算と危険において営利を目的とし対価を得て継続的に行う経済活動から生ずる所得」と定められています。

「自己の計算と危険」というのは、対価をもらうだけでなく、仕事を得るのも、経費を収入の範囲内に抑えて利益を出すのも自己責任、という意味合いで、会社員が会社の指揮命令に従って働いていれば決まった給料が保証されているのとは大きく異なる点です。

 

言い換えると、自分で独立してビジネスを経営することによって収益を得るのが事業です。

その事業で生計を立てられるくらいであれば、事業所得ということになります。

 

 一方、雑所得というのは、事業所得や給与所得など他の所得区分に該当しない所得です。

 会社員の副業でも、たまに原稿料や講演料、物品販売による収入などを得ているような場合は、継続的に行っているとは言えないため、事業所得ではなく雑所得になります。

 

 以前は、事業所得と雑所得の区分があいまいでしたが、2022年に、国税庁から事業所得と雑所得の区分を判断する指針が示されました。

 

 それによると、事業所得と雑所得の区分は次のようになります。

 ① その所得の収入金額が僅少と認められる場合

  例えば、その所得の収入金額が、例年、300 万円以下で主たる収入に対する割合が 10%未満の場合は、「僅少と認められる場合」に該当すると考えられます。

 ※「例年」とは、概ね3年程度の期間をいいます。

  ② その所得を得る活動に営利性が認められない場合

  その所得が例年赤字で、かつ、赤字を解消するための取組を実施していない場合は、「営利性が認められない場合」に該当すると考えられます

 ※「赤字を解消するための取組を実施していない」とは、収入を増加させる、あるいは所得を黒字にするための営業活動等を実施していない場合をいいます。

 

 

整理すると、

記帳と帳簿書類の保存がない場合は、300万円以下は雑所得、300万円を超える場合は、個別に判断しますが、基本的には雑所得とみなされる場合が多い、ということです。

記帳と帳簿書類の保存がある場合は、300万円を超える場合も超えない場合も、基本的には事業所得とみなされる、ということです。

ただし、事業の収入が本業の給与収入の10%以下だったり、赤字になっている場合は、同じ状態が3年以上続くと、雑所得と判断される、ということです。

 

収入が本業の10%以下のような場合は、ほぼ本業だけで生計を立てているでしょうから、事業とまでは言えないところですが、事業開始当初は売上が思うように上がらないことも多々あるので、3年間は収入が少なくても事業所得として認められるということです。

 

これらは、あくまで本来の「事業」の定義にあてはまることが前提なので、たまに趣味程度で行っているような場合は当てはまりません。

 

ネット上で事業所得と雑所得の違いを検索すると、収入300万円以下は事業所得にはできないという記述が時折見られます。

これは、国税庁が2022年8月に「副業収入が300万円以下の場合は事業所得ではなく雑所得」とした通達案を公表していたためです。

これに多くの意見が寄せられたことを踏まえ、2022年10月に修正された通達案が発表され、それによって、300万円という金額で一律の線引きするのではなく「所得に係る取引を記録した帳簿書類を保存すれば事業所得にできる」といった内容に修正されました。

 

 なぜ、このような国税庁からこのような通達が出されたのかというと、従来から会社員で副業収入を事業所得にして赤字計上して給与所得と差し引きすることで節税する人がいました。

 事業所得は赤字を給与から差し引くことができますが、雑所得の場合はそれができません。

 

 これまで問題となっていたのは、趣味としか言えないような少額の事業収入を事業所得として申告することを毎年行って節税しているようなケースです。

 悪質な場合や赤字の金額があまりにも大きい場合は税務調査の対象となりますが、線引きがあいまいな部分が多く、国税庁は対応に苦慮していました。

 

 そのため、できるだけ明確な基準を作る必要があったわけです。

 

 この通達によって、副業の場合でも、ある程度の収入を得ていて赤字が3年以上続くのでなければ事業所得として認められるということになります。

 

 

 

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