発達障害のある子を育てるあなたへ

 

 

～子どもの力を信じて、あたたかく寄り添う心構え～

「うちの子、みんなとちょっと違うかも…」
「どう育てたらいいんだろう…」

そんな不安を抱えながら、毎日子育てを頑張っているお父さん、お母さんへ。

発達障害がある子どもを育てることは、時にとても大変で、心が折れそうになることもあります。周りの子と比べてしまい、自分の子どもに対して「どうしてできないの？」と感じてしまうこともあるでしょう。でも、ほんの少し心の持ち方を変えるだけで、子どもも親も、もっとラクに、もっと笑顔で生きていけるようになります。

今日は、発達障害がある子を育てるための「心構え」を、詳しくお伝えします。

1. 子どもの「見え方・聞こえ方」はみんな違う

人には「視覚認知（目で見る力）」と「聴覚認知（耳で聞く力）」という2つの大きな認知の方法があります。

誰でも「目で見て覚えるのが得意な人」や「耳で聞いて理解するのが得意な人」がいます。しかし、発達障害のある子どもは、この認知のバランスが大きく偏っている場合が多く、それが生活の中で困りごととして表れます。

たとえば…

・聞いたことが頭に入らず、何度言われてもわからない
・人の話すスピードについていけず、話が終わる頃には内容がわからなくなる
・周囲の音がすべて平等に聞こえてしまい、必要な情報だけを拾うことができない

こうした特性は、その子の「脳の働き方」によるもので、本人の努力や意欲だけでは改善できません。大人が「この子は何が苦手なんだろう？」と丁寧に観察し、その子に合った伝え方や環境を整えることが大切です。

目で見せたほうがわかるのか、耳で聞いたほうが理解しやすいのか、触って確かめたほうがいいのか――その子だけの「わかりやすさ」を探しましょう。

2. 子どもの「限界」を見つめて、あきらめない

親は誰でも、子どもに幸せになってほしい、成功してほしいと願っています。だからこそ、つい「もっと頑張ってほしい」「もっとできるはず」と期待してしまいます。

でも、子どもには「その子なりの限界」があります。できることもあれば、どうしても苦手なこともあるのです。

無理な期待を押し付けると、子どもは「できない自分はダメなんだ」「親に嫌われるかも」と思い込み、本音を言えなくなります。そして、頑張り続けた末に、心が折れて無気力になってしまうこともあります。

そこで大切なのは、

・子どもの「今の力」を正しく見極めること
・少し頑張れば届く「ちょっと上の目標」を設定すること
・できたときは思いきり一緒に喜び、成功体験を積ませること

子どもは、小さな「できた！」の積み重ねで、自信を育てていきます。

3. 親自身の「期待」に気づくこと

時には、親が無意識のうちに、自分の叶えられなかった夢や、満たされなかった思いを子どもに託してしまうことがあります。

「自分はできなかったから、子どもには成功してほしい」 「自分のように苦労してほしくないから、立派になってほしい」

こうした気持ちは、決して悪いものではありません。でも、それが行き過ぎると、子どもは「親の期待に応えないと自分の存在価値がない」と感じてしまい、苦しむことになります。

親は「自分のために」ではなく、「子どものために」応援することを意識しましょう。そのためには、まず「自分はどんな気持ちを持っているのか？」に気づくことが大切です。

そして、親自身も自分の人生を楽しみ、幸せでいること。それが子どもにとって、最高の安心感になります。

4. 子どもは「今できることを精一杯やっている」

どんな子どもも、今できることを一生懸命に頑張っています。できないことがあっても、それは「サボっている」のではなく、「本当に難しい」のです。

子どもが困っているとき、失敗してしまったときは、「なぜできなかったの？」ではなく、

「どうしたらできるようになるかな？」 「一緒に考えてみようか」

と声をかけてあげましょう。

そして、子どもが「できた！」と思えた瞬間は、大げさなくらい一緒に喜びましょう。親の笑顔は、子どもの心の栄養です。

5. 親子で「一緒にしあわせ」を探そう

「普通」でなくていい。「みんなと同じ」でなくていい。
100人いれば100通りの幸せの形があります。

大切なのは、親子で「一緒にしあわせを探すこと」です。

・子どもがどんなことをしているときに笑顔になるか？ ・どんなときに「楽しい！」と感じているか？

子どもの目線で、一緒に楽しみ、喜び、歩んでいくことで、親子の絆は深まっていきます。

そして、親自身も「自分らしく生きること」を大切にしてください。

・子どもを信じて、あきらめずに応援し続けること。

・親自身も、自分を大切にし、幸せを感じること。

・そして、親子で一緒に未来を描くこと。

これらを頭の片隅に置いておいて、発達障害がある子を育てるための、心のよりどころにしてみてはいかがでしょうか。