
ある日、先生や専門家から「あなたのお子さんには発達障害の可能性があります」と言われたとき。
きっと心の中に、不安や戸惑い、驚き、いろんな気持ちがわき起こると思います。
でもまず、知っておいていただきたいのは、
発達障害は“その子らしさ”を含んだ一つの個性であり、
理解と支援があれば、十分に力を発揮できるということです。
■ 発達障害って何?
発達障害とは、生まれつき脳の働きに特徴があり、
考え方や感じ方、行動の仕方に“その子なりのスタイル”がある状態です。
医学的には、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)などが含まれます。
でも、診断名がすべてではありません。
「何ができるか」「何が困りごとか」を知ることが、何よりも大切なのです。
■ こんな子、周りにいませんか?
・いつも同じ道を通らないと不安になってしまう子
・電車の名前はぜんぶ覚えているのに、会話のキャッチボールが苦手な子
・黒板の字を写すのに時間がかかって、授業についていけない子
・忘れ物が多くて怒られるけれど、本当はすごく気がきく子
こうした子どもたちは、「発達障害」という言葉ではくくれないほど、一人ひとり違う特性を持っています。
そして、得意なことと苦手なことの“凸凹”が大きいのが特徴です。
■ 誤解しないでほしい3つのこと
①「軽度だから大したことない」わけではない
「軽度発達障害」と言われても、社会生活での困難は深刻な場合もあります。
知的な遅れがない=問題が少ないというわけではありません。
②「そのうち治る」わけではない
発達障害は“治すもの”ではなく、“理解し、寄り添うもの”です。
成長と環境しだいで生きやすくなることはありますが、
放っておけば自然によくなるというものではありません。
③「何でも訓練すればうまくいく」わけでもない
大事なのは、その子に合った関わり方や支援を選ぶこと。
他の子に合った方法が、うちの子にも合うとは限りません。
■ 親としてできることは?
・まず、「この子にはこういう特性がある」と知ること
・「困っているのは誰か?」「どうしたら少し楽になるか?」と一緒に考えること
・「何ができるか」よりも「どんなふうに生きていきたいか」を一緒に見つけていくこと
子どもが自分らしく生きていくためには、
「できないこと」を責めるより、「どう支えるか」に目を向けることが大切です。
■ 周囲の理解が、子どもと家族を守る
発達障害の子どもたちが街中でパニックになってしまうこともあります。
そんなときに、「あの子は発達障害かもしれない」と知ってくれる人が一人でも多くいれば、
その子も、親御さんも、どれだけ気持ちが軽くなることでしょう。
誰かを助けるために特別な知識や資格は必要ありません。
「知っている」ということ自体が、立派な支援になります。
まとめ:その子の輝きを信じて
発達障害とは、「特性のある脳のスタイル」です。
困難さもありますが、それと同じくらい、いやそれ以上に、
ユニークな才能や、あたたかな感性、美しい世界観を持つ子どもたちでもあります。
どうか、その子の「できないこと」ではなく、
「この子はどんな子か」に目を向けてください。
親であるあなたの気づきとまなざしが、
この子の未来をあたたかく照らす力になるのです。